撤退する

ガンパレ学芸会 〜桃太郎〜

昔々、あるところに、お爺さんとお婆さんが住んでいました。

お爺さん(善行忠孝)「まあ、前回の馬よりはマシですか」
お婆さん(原素子)「……納得いかないけど、まあいいわ。どうせ若い娘の役なんて無いし」

お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に出かけました。

お爺さん「……芝刈りに来たんですが」
芝(準竜師)「フッ……我らを狩るとは、剛毅なことだ。どうやら、命が要らぬらしい」
お爺さん「いや、だから芝村ではなく」
芝「助かりたくば、靴下を置いていけ」
お爺さん「……何故、そうなるんでしょう?」
芝「置いてけ〜」
更紗(飛び入り出演)「準竜師……」
芝「へ?」
更紗「いつから『おいてけ堀』に演目が変更されたんですか」
芝「あ、いや、これはだな……」


〜 しばらくお待ち下さい 〜


お爺さん「……ゴッドスピード、準竜師」

一方、お婆さんが川で洗濯をしていると、上流から大きな桃が、ぼやや〜ん、ぼやや〜ん、と流れてきました。

お婆さん「おいしそうね。食べちゃおう・か・し・ら」
桃(ビクッ!)
お婆さん「冗談よ。とにかく、持って帰りましょう。若宮君!」
人足(若宮康光)「はっ、承知しました」

お爺さんとお婆さん、ついでに人足はお爺さんの家で合流しました。

お婆さん「そちらの首尾はどう?」
お爺さん「結構な収穫です。準竜師と副官殿の修羅場でした」
人足「それは、奥様戦隊冥利に尽きますな」

イヤな三人が合流したものです。
ともかく、お婆さんは桃を切るように命令しました。すると、なんと桃の中から可愛い男の子が現れたのです。ちなみに、全裸なので隠すところを隠しつつモジモジしています。

お婆さん「あら、カ・ワ・イ・イ」
男の子(速水厚志)「何もホントに全部脱がせなくてもいいじゃないですかぁ」(涙)
包丁(壬生屋未央)「ふ、不潔です!」
人足「とか言いつつ、シッカリ見ているじゃないか」
お爺さん(デジカメで撮影中)「この写真は、高く売れますね」

桃から生まれた男の子は、桃太郎と名付けられスクスクと成長しました。
そんなある日、桃太郎に出撃命令が下されました。

お爺さん「鬼の数と規模を算定してください。出撃まで180秒」
桃太郎「僕も頑張らないとね」

早速、桃太郎は熟練の主婦の技で食料となるサンドイッチをこしらえました。
ちなみに、お婆さんは桃太郎のために士翼号を用意しました。
マジで鬼ヶ島を殲滅するつもりのようです。
意気揚々と出発した桃太郎は、途中家来となる犬猿雉に目星をつけました。

犬(森精華)「……今度は犬ですか。人間の役、やりてぇす」
桃太郎「原主任たっての要請だってさ」
猿(加藤祭)「ウチなんか、またサルやで。なんで?」
桃太郎「前回のサルが好評だったかららしいよ」
雉(狩谷夏樹)「何で僕が雉なんだ……くそっ!」
桃太郎「狩谷君はほら、加藤さんとセットだから」

ぐずる犬猿雉をサンドイッチで懐柔し、桃太郎は鬼ヶ島に突撃しました。
折しも、鬼ヶ島では鬼たちが宴会の真っ最中です。

赤鬼(瀬戸口隆之)「って言ってもなぁ、コーラとポテチで宴会てのは、なんだか」
青鬼(茜大介)「僕らは未成年だ。だいたい、アルコールは脳の働きを阻害する。敵襲に備えて、慎んでおいた方がいい」
ミツリロ(中村光弘)「そいに、ポテチなわしん手作りやけん。見てくれな悪かばってん、味は保証すっばい」
赤鬼「って、お前、何だその格好はーーーっ!?」
ミツリロ「よう知らんばってん、評判がよかったけん。今後ともこの役でいくらしかばい」
青鬼「い、イヤなことを思い出させるなぁっ!!」

規格外が一人混じっているようです。
えっと、この後は赤鬼と青鬼の禁断の……

青鬼「いったい、脚本は誰だぁーーーっ!?」
赤鬼「壬生屋かっ!壬生屋なのかっ!?」

このように鬼たちが宴会を楽しんでいるところへ――

赤鬼&青鬼「楽しくないっ!」

楽しんでいるところへ!
第5121対鬼小隊が雪崩れ込んで来ました。

桃太郎「各員、常時報告。犬、特攻用意!」
雉「士翼号に乗ってる割には、部署は司令なんだな」
犬「それより、特攻ってなんですか、特攻って!」
桃太郎「えっと、台本にそう書いてあるんだけど。赤ペンで」
猿「これは、原さんの字やな。逆らったら、後が恐いで」
犬「そんな理不尽な!」

理不尽だろうが何だろうが、原主任の命令に背くことなどできません。上官命令は絶対だとかいう理屈以前に、命に関わりかねないからです。
犬は、泣く泣く特攻を敢行しました。

ミツリロ「靴下ば置いていってはいよ」
犬「って、またこれですかーーーっ!?」

犬は、靴下を剥かれた。
抵抗力が下がった。
先進性が下がった。
流行が下がった。

「ふ、不幸だぁ……うちは、止めど無く不幸だぁよぅ……」

むせび泣く犬を放り出し、ミツリロは目的を果たすとさっさとどこかへ消えてしまいました。
本当に靴下にしか興味が無いようです。

桃太郎「あはっ、僕たちの勝ちだよ!」

犬の尊い犠牲に寄って大勝した5121対鬼小隊は、悠々と財宝を奪い取って岐路に就きました。
ちなみに、赤鬼と青鬼を倒してないような気もしますが、彼等はHな雰囲気なので戦力外だったのです。

桃太郎「ただいま。お爺さん、お婆さん、あと人足さんに包丁さん。宝物を持ってきたんだけど、分ける?」
お婆さん「ああ、それは壬生屋さん専用だから」

お婆さんの言葉に嫌な予感がした桃太郎と雉はこっそり逃げ出そうとしましたが、お婆さんの忠実な僕である人足に阻止されてしまいます。

お婆さん「さて、第二部いきましょうか」(ニッコリ)

予測通り、持ち帰った宝箱の中には、金銀財宝ならぬ禁断台本がみっしりと詰まっていました。

桃太郎&雉「いっ、いやだっ!僕は、僕はッ、イヤだぁぁぁ〜〜〜っ!!」

こうして、桃太郎の鬼退治は終わったのです。


〜 おしまい 〜


猿「せやから、どこが桃太郎やねーーーんっ!?」



(補足)
なお、今回も第二部は都合により一般公開はされなかった模様です。
一般公開は、ですが。


つい書いてしまった続編。出来は更に悪くなってるんですがね。
加藤のサルと酷い目に遭う森は、私の頭の中ではもう既定の事実。(笑)