撤退する

ガンパレ学芸会 〜祭遊記〜

昔々、阿蘇山というたかーい山に、岩から生まれた一匹のサルがおりました。
名を孫悟空といいます。

孫悟空(加藤祭・以下悟空)「って、なんでウチやねん。普通、サル言うたらイメージ的に滝川君とか、あと暴れん坊言うたら田代さんとか、あのヘンやないの?」
三蔵法師(原素子・以下三蔵)「タイトルに合わせたらしいわよ。いいかげんねー」
悟空「で、何で原さんが三蔵法師やねん?」
三蔵「夏○雅○に匹敵する美女となると、選択肢は限られてるからじゃないかしら?」

お釈迦様になるのを拒否したから、やむを得ずです。
本当は、ヨーコさんの役……

三蔵(刃物装備)「何か言った?」

(慌てて)原さん以外には考えもつきませんでした。
それより、出番まだですよ。孫悟空とお釈迦様のシーンが先です。

三蔵「わかったわ。それじゃ加藤さん、また後でね」

いやあの、ちゃんとお芝居してもらえます?
って、もういないし。
……えー、ゴホン。
孫悟空は、なんやかんやで天界に迎え入れられ、斉天大聖を名乗ります。しかし、悟空の暴れっぷりというかツッコミの激しさには、天界の人々も困り果ててしまいます。そこで、お釈迦様が教育を施すことになりました。

お釈迦様(坂上久臣・以下釈迦)「加藤さん、席に着いてください」
悟空「うっわぁ……またキッツイお釈迦様やなぁ」
釈迦「それはまた、酷い言い方だと思いますが。とにかく、どうしても授業を休みたいのなら、私の手から逃げてみせなさい」
悟空「へん!お安いご用や。筋斗雲〜〜〜!」
筋斗雲(狩谷夏樹・以下筋斗)「くそっ!なんで僕がこんな役なんだ。だいたい、僕は舞台に立つのだって……」
悟空(嬉しそうに筋斗雲に飛び乗りつつ)「まあまあ、なっちゃん。こうなった以上楽しみまひょ」
筋斗「こら、くっつくな!それと、今の僕は筋斗雲だ。そうじゃなくても、なっちゃんと呼ぶな」
悟空「も〜う、なっちゃん、つれへんなぁ。ノリが悪いで」
筋斗「こ、こら、車椅子に乗るな。座り方を変えろ……そう、そういうのだ」
天界の羅刹(本田節子・友情出演)「テメーら、さりげなくHな雰囲気醸し出してんじゃねぇ〜〜〜〜っ!」

ズドドドドドドドドっと、バラ撒かれる銃弾をよけつつ、悟空と筋斗雲は手に手を取って一目散に逃げ出しました
その後、二人は末永く幸せに暮らしましたとさ。


〜 完 〜


釈迦「終わってどうするんですか。続けますよ」

やっぱり?
悟空は、逃げに逃げて、もういいだろうと思って振り向きました。案の定、お釈迦様の姿は影も形も見えません。

悟空「へん、どんなもんや!ウチとなっちゃんが力合わせれば、ざっとこんなもんやで」
釈迦「そうでしょうか」
筋斗「うわっ!し、心臓に悪い出方をしないで下さい」
悟空「な、なんで……さっきあっちの方におったのに、物理的に不可能やん!?」
釈迦「あれは壱型の方です」
悟空「前から思ってたんやけど、同じ顔のクローン近くに置くのやめて欲しいわ」
筋斗「まるで、どこかのタマネギみたいだな」
釈迦「確かに、裏でやってる舞台劇「ミツリロ!」には、坂上部隊が出てきますが」

……ちょっとだけ、裏の舞台を覗いて見ましょう。

タカコラン「何の用だ、へちゃむくれの人外大魔境……」
ミツリロ「えらい言われ様ばい。わしゃ、靴下美少年で通っとるっばい」
アカネイヒ「何で靴下なんだ……」
警察長官「殿下ァァァ!イィ、凄く、イィィィィ〜〜〜〜!!」

……見なかったことにしましょう。
ともかく、まんまとお釈迦様に捕まった孫悟空、岩山に閉じ込められてしまいます。

釈迦「これから三蔵法師玄奘がここを通りかかります。彼女のお供をして、民明書房刊『おみちゃんの戦術論』全三巻を受け取りに来なさい」
悟空「何や、イヤな本やけどわかったで」
釈迦「三蔵法師と合流するまで、筋斗雲は没収です」
悟空「そ、そんな殺生なぁ……」
釈迦「これ以上、本田先生に暴れられても困りますからね。それじゃ、狩谷君」
筋斗「筋斗雲ですが、はい、なんでしょう?」
釈迦「君は、その間向こうの舞台に出番がありますので」

その頃の向こうの舞台。

タカコラン「アカネイヒ……」
アカネイヒ「タカコラン……」

Hな雰囲気。

筋斗「いっ、いやだっ!僕はッ!アッチの世界はイヤだぁぁぁ〜〜〜っ!」
釈迦(筋斗雲を引きずりつつ)「それでは加藤さん、狩谷君のためにも早目に合流できることを祈ってますよ」
筋斗「たっ!たすけっ……」

絶望的な眼差しでお釈迦様と筋斗雲を見送り、孫悟空は三蔵法師を待ちました。

悟空「ああ、原さん、やない三蔵法師、はよう来てや……」
三蔵「来たわよ」
悟空「うわ、はやっ!」
三蔵「出番が無いのも暇だもの。じゃあ、行きましょうか」

その前に、悟空はとりあえず筋斗雲を呼びました。
血走った目で駆けつけた筋斗雲は、何度も、何度も、心の底から孫悟空に礼を言ったそうです。

馬の前の方(善行忠孝)「素子……裏舞台の脚本は、誰が?」
三蔵「壬生屋さんよ」
馬の後ろの方(若宮康光)「やはりか……」

三蔵法師一行は、途中猪八戒、沙悟浄という心強い仲間を加えつつ、小隊職員室を目指しました。

猪八戒(森精華・以下八戒)「あの、原先輩。なんで私が猪八戒なんですか。普通、言いにくいですけど中村君とか……」
三蔵「中村君は裏の主役だから。それとも、モリリロの方がよかった?」
八戒(涙ながらに)「……猪八戒でいいっす」
沙悟浄(遠坂圭吾・以下悟浄)「私が沙悟浄というのも、よくわからないのですが」
三蔵「髪の毛が緑だから」
悟浄「筋斗雲もそうですが」
三蔵「代る?今なら向こうの舞台に……」
悟浄(慌てて)「私は、沙悟浄が好きなんですよ」

猪八戒と沙悟浄は、自分がこちらの舞台に回されたことを神とか仏とか人類の規格外とかの諸々に感謝しました。
そんな一行を、恐ろしい妖怪変化の牛魔王が襲います。

牛魔王(中村光弘・以下牛魔)「靴下ば置いていってはいよ」
悟空「何で向こうの主役がこんなところでライバルキャラやっとんねん!」
牛魔「向こうな今、瀬戸口と茜んシーンたい。わしん出番はなかとよ」
八戒「だ、大介……」(涙)
牛魔「ええけん、靴下ばくれんね」
三蔵「わかったわ。森さんのでいい?」
八戒「なっ、ここは牛魔王を倒すシーンなんでは。それに、何でウチの靴下っ!?」
三蔵「私はクレバーな三蔵法師なのよ。避けられる戦いなら、避けた方が無難ね。あと、森さんのなのは」
八戒「なのは?」
三蔵「私のシュミ」(にっこり)

猪八戒は、靴下を剥かれた。
防御力が下がった。
都会性が下がった。
品格が下がった。

八戒「う、ウチは不幸だぁ……」(滂沱の涙)

こうして牛魔王と和解した一行は、最強の刺客である金角・銀角と出くわしてしまいます。

金角(芝村舞)「厚志、やるぞ」
銀角(速水厚志)「僕もがんばらないとね」
悟空「って、何を複座型持ち出しとんねん!殺す気かぁ〜〜〜っ!」
金角「問答無用!芝村に負けは無いのだ!」
悟空「うわっ、マジでジャイアントアサルトこっちに向けとる!」
金角「発射ぁ〜〜〜っ!」
三蔵「何の!精華バリアーッ!」
八戒「は、はいぃ〜〜〜っ!?」

激しい戦いが続きました。
ちなみに、恋敵判定がついている三蔵法師が金角に撃たれまくったのですが、実被害を蒙ったのは主に身を挺して三蔵法師を庇わされた猪八戒でした。
実弾だったら、何百回か死んでいるに違いありません。

八戒「い、田舎のばっちゃぁ……ウチ、ウチもうダメでぇすぅ……」
金角「チッ、弾切れか!この勝負、預けるぞ!」
悟浄「負けは無くても引き分けはあるみたいですね」
三蔵「いいんじゃない?こっちも、そろそろ盾がダメになってきてたし」
悟空「ムゴい……」

こうして、辛くも金角・銀角の魔手を逃れた三蔵法師一行は、ついに小隊職員室に辿りついたのですが。

弥勒菩薩(芳野春香)「坂上先生……じゃなかった、お釈迦様ね。たぶんプレハブ校舎前にいると思うけど」
三蔵「あら、そうなんですか。仕方ないわね」

三蔵法師は、やむを得ずテレポートでお釈迦様に会いに行きました。

悟空「最初っからやらんかいっ!」
筋斗「いや、これはこれで良かったのかもしれない」
悟浄「何故です?」
筋斗「下手に早く終わって、アッチの舞台に呼ばれるよりは……」

表情を曇らせてそう言う筋斗雲の言葉に皆が深く頷いた時、三蔵法師がテレポートで戻ってきました。

三蔵「ふぅ〜、やっぱりテレポート二連発は疲れるわね」
悟空「それで、ブツは手に入ったんですか?」
三蔵「ふふ、そうね。見てみる?」

三蔵法師が差し出した本のカバーには、こう書かれていました。

『みおちゃんの芸術論(上)』

悟空「まっ、紛いモンや!類似品や!っていうか、何が書かれとんねん、コレはぁ〜〜〜っ!?」
三蔵「そういうわけで」

三蔵法師は、既に逃げの体勢に入っていた筋斗雲を、車椅子の背もたれをガッシリ掴んで拘束しました。

三蔵「第二部。主役は筋斗雲」
筋斗「いっ、いやだっ!僕は、僕はッ、イヤだぁぁぁ〜〜〜っ!!」

こうして、三蔵法師一行の長い長い旅は終わったのです。


〜 おしまい 〜


悟空「どこが西遊記やねーーーんっ!?」



(補足)
なお、第二部は都合により一般公開はされなかった模様です。
一般公開は。


ちょっと迷ったけど、ゴミ溜め送り。ギャグなんだろうけど、笑いが弱い。
笑いに走るにせよ、シリアスに行くにせよ、もちっと徹底しないとダメだと思う次第です。