いろいろとワケはあったのだが、詳細は省く。
とにかく、俺は覇権を賭けて三人の男たちと勝負をすることになった。
勝負の方法は、どういうわけか俺たち四人が最も得意とする内容……すなわち、『旅行』と
『女の子』を掛け合わせた内容である。
つまり『女の子を誘って一定の旅行をクリアしてくること』である。
ターゲットは総勢十二名。
いずれも、一癖二癖ある猛者どもばかりである。
ここに、俺の過酷な旅路が始まったのであった。
何故に今更特別企画
セン血メンタル邪ァーニー〜地獄行片道切符〜
旅その1【星野明日香編】
さて、俺は第一ターゲットである星野明日香と接触することに成功した。
ちなみに、この女を選んだ理由はただ一つ。単純に一番近場にいたからである。
ひとしきり再会の挨拶を交わしたあと、俺は旅行プランを提示する。
「こんなプランなんだけど」
と言いつつ、俺は懐からカードを取り出した。
勝負の公正を期すため、旅行は事前に(あるいは旅行中に)入手したプランカードに書かれているプランに限定されるルールだからだ。
まあ、自慢になるが俺はとても旅慣れている。
どのくらい旅慣れているかというと、真冬の北海道で野宿することによって体力が回復するほどだ。
※自殺行為ですので、良い子の皆さんはマネしないでね。
その俺にかかれば、どんな旅であろうが割と簡単に達成できるだろう。
そんなわけで、俺は今初めてプランカードとやらに目を通す。
と、そこには、こう書かれていた。
『中央突破の旅』
「何……?」
我が目を疑う。
『目的地:百里・久留米・春日』
「って目的地っつーか、まんま基地じゃねーか!」
『旅の間中央突破以外の戦術を取ることができません』
とりあえず、見なかったことにしよう、と思っているところへ、横合いからカードを覗き込んだ明日香が言うには。
「おもしろそーーーっ!」
「なんでじゃあっ!?」
『苦労する代わりに軍事費が多くもらえます』
「オッケー、オッケー。バツグンにオッケーだよ」
「軍事費ってなんじゃあぁぁっ!?」
混乱する俺を余所に、旅は始まった……
「ここどこー?チェクしなきゃ!」
「ここは百里基地、目の前にいるのは航空自衛隊の隊員でございますとも、ミーハー様……」
「ここは立ち入り禁止だ!すぐに出て行きなさい」
「うおっ!?9mm機関けん銃!もう配備されていたのか……って、逃げなきゃ!」
『旅の間中央突破以外の戦術を取ることができません』
「って、殺す気かーーーーっ!?」
『苦労する代わりに軍事費が多くもらえます』
「いーらーんーわーーーーーっっっ!!!!」
天まで届けとばかりに張り上げた叫びとは裏腹に、俺は中央突破を敢行する。
自分の意思とは無関係に。
ああ……生きて帰れるのだろうか?
旅その2【七瀬優編】
やれやれ、まったくひどい目にあった……
なんとか生還した俺は、とりあえず一休みしつつ今後の方針を練る。
まず頭に浮かんだのは、カードのことである。
さっきのこともあるから、できるだけお手軽な、少なくとも安全な旅を探しておかねば。
俺は懐からカードを取り出した。
『中国の旅』
「なんか、オチが見えているんだが……」
思いっきりあきれて独語する俺の耳元で、俺ではない誰かの声が響く。
「ふぅん……面白そうだね」
「うおっ!?この俺に実体を見せず忍び寄る白い影は誰だ!?」
「私だよ。七瀬優」
おや。
猫語を操り池の魚を呼び寄せる東洋のミステリアスガール、七瀬優ではないか。
これは好都合かもしれない。
こやつであれば、俺ほどではないにしても旅慣れているはずだ。
この勝負のパートナーとしては申し分無い。
『目的地:鳥取・上海・安寧・倫敦』
「やっぱりか……って、なぜロンドン?」
『ツアー効果ははりまえん』
「どんな効果じゃあっっっ!?」
「じゃあ、いこうか」
特に声をかけた覚えも無いのだが、なぜか優が俺の手を取る。
まあ、ベタなギャグだけに今回は命の危険は無かろう。
そして、再び旅は始まった。
あっという間に鳥取をクリアした俺たちは、香港行きのフェリーの船上にあった。
とりあえずどこに行くにしてもメダル2枚でフェリーに乗れるのはありがたい。
フェリー以外の乗り物に通用しないのが、ちと、何だが。
そして、乗船から二日(2マス)後。
『イベント』
「なんだろう?」
興味津々の優。
『海中から敵スタンドによる攻撃を受けます』
「なんでやねんっっっ!!!」
「シブいねぇ……まったくおたくシブいよ」
「星に願いを……シューティング・スターッ!フィンガーッ!!」
ダークブルームーン:直撃・再起不能
フェリー:轟沈
to be continue....
「いきなりサメのエサになるんかいっ!?」
「なんだかワクワクする」
「お前だけだっ!」
ともかく、海の藻屑となる前に対策を立てねば。
「こ、こんなときはアイテムカードで!」
『スカッドでGO』
「なっにぃーーーーっ!?」
『黒髭大統領のお気に入りで目的地を目指します』
『但し、パトリオットに迎撃されない可能性は1/3です』
「なーーーぜーーーだーーーっ!!」
叫びもむなしく、俺たちは海中から打ち上げられた。
ちなみに、きっちり迎撃されてしまったことを付け加えておく。
んで、落ちた先はエジプト……となると。
「お、お前はッ!KAHOッ!!」
「フッフッフ……あなたのスタンドが一番なまっちろいわ!」
「フッ……やれやれだね」
「ザ・ワールドッ!時は止まるッ!」
「オラァッ!」
「な、なに?コイツ、止まった時の世界に入門してきた!?」
「星に願いを……シューティング・ビービス・スティンガー・フェノメノンッ!!」
「そいつに触れることは死を意味するッ!?」
「ドッギャーーーン!マーチンッ!?」
もはや、何がなんだかわからなかった。
旅その3【綾崎若菜編】
存在の危機にさらされながら、俺はKAHO打倒の旅を終えた。
いつからそんな旅程に書き換えられたのかはよくわからないが、とにかくここで旅は終わりらしかった。
空港で優と別れ、それぞれの帰路へと……って、パスポートも旅券もなしで、どーしろってんだ?
ちなみに、さっきも言ったとおりメダルはフェリー専用だぞ。
「あら?そちらにいらっしゃるのは……やはりあなたでしたか」
「そう言う君は綾崎さんちの若菜さん。ってなんでエジプトにっ!?」
「はい。寺社仏閣の見学というと、簡単に旅行のお許しがいただけまして」
「寺社仏閣って……いや、まあイスラムでも寺院とは言うけど、なぁ」
「それより、あなたはなぜ?」
「いや、旅行の途中なんだ……地獄行き臭いけど」
「まあ。それでしたら、ご一緒してもよろしいでしょうか?」
「まあ、こんなプランで良ければ」
『わびざびプラン』
「まあ……それは素敵ですね。大変良いアイデアだと思います」
『目的地:キャリフォルニア、オデッサ、ソロモン、ア・バオア・クー、ズムシティ』
「行けるかぁっっ!!」
『各地のザビ家ゆかりの地を訪ねて歩く旅です』
「ザビかいっ!」
「参りましょう!」
「いーーーやーーーだーーーーーーっ!!」
かくして俺は、宇宙世紀0079の世界へと旅立っていった。
んで【結果発表】
「え……?みんな何の話してるの……りゅ?
旅行?誰が?誰と?いったい何があったりゅ〜〜〜ん!?」
あからさまに『2001年宇宙の旅』あたりが出そうで敬遠されたりゅんりゅん生物が約一名。
わたしゃ、何を書いているんだろうか。(笑)